相続財産の分割の手順は簡略化すると
A「分割財産の確定」・B「相続人の確定」 → C「分割協議」 → D「名義変更」・E「現・預貯金分配」
というような順序で進めていきます。(AとB、DとEは並行作業)
このシリーズの前半は、A「分割財産の確定」にあたる
「分割対象になる遺産」と「それ以外の遺産(受け取る人が特定される等)」
をとりあげます。
遺産を分割するには、一般的には下記の①と②を同一視し「①+②」と「③」の2種類に整理して
「分割財産の確定」を行うことで良いと思いますが、ここでは少し詳しく3つに分類して解説しておきます。
① 分割協議を必要とする遺産
② 分割協議をしなくても各相続人に、法定割合で固有の権利として属する遺産
③ 法定割合に関係ない、あるいは相続に該当しない、受け取る人が特定されている遺産
※①と②については問題が無ければ、実務上同じ分割協議をする財産としてリストアップし
一括して分割したほうが便利な場合が多いです。
①と②を区別する必要があるような状況になった場合は、専門家に相談する事をお勧めします。
今回の本題です。
生命保険金は協議を必要とする財産に該当しない場合が多い。
①保険契約者 = 被相続人で、受取人を特定の者としている契約(③に該当)
受取人の固有の権利となり受取人だけが保険金支払いの請求権を持ち、分割対象財産ではない。
②保険契約者 = 被相続人で、受取人を相続人として複数人指定した契約(②に該当)
相続人が保険金支払いの請求権を持ち、各相続人の固有の権利となり分割協議を必要としない。
その権利の割合は特別の事情が無ければ法定相続分割合となる。
③保険契約者 = 被相続人 = 受取人とした契約(②に該当)
この場合も保険金支払いの請求権は各相続人固有の権利となり分割協議を必要としない。
各相続人が受取人としての地位を相続により承継する。
但し満期保険金が発生した場合で、満期後の死亡の場合は分割対象財産となる。(①に該当)
なお保険金の税金については、契約者、被相続人、受取人の違いによって相続税、所得税、贈与税と違ってきます。
詳細は国税庁HP・コードNO.1750をご参照下さい。
※この掲載記事については一般論、原則論で記載しています。
遺産分割の大前提は「公平性と一切の事情」です。
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